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ノベマ!第三回ずっと見守りたい♡BL短編コンテスト応募作品。
応募レギュレーションには、主人公を受けとする指定がありました。それなら主人公を、恋愛上の役割だけでなく、電波を受信する人にしてみようと考えたことから、アマチュア無線を扱う電通部という、BL作品では少し変化球な部活動を選びました。
主人公の信は、傘をアンテナにした自作ラジオや、人工衛星から届く信号を受信することができます。しかし、人との会話になるとうまく言葉が出ず、自分の気持ちを相手へ送ることができません。本人も、自分は受信専用なのかもしれないと考えています。
そんな信の相手役には、声を多くの人へ届ける放送部の響を置きました。
受信する人と発信する人。電通部と放送部。正反対ですが、響は一方的に言葉を浴びせずに、信が返事のできる方法を探します。好きな曲を送り合い、差し出した手を握り返してもらい、言葉になる前の小さな変化まで拾い上げます。
一方の信も、何も送っていないわけではありません。響から教わった曲をプレイリストへ保存したり、手を強く握りかえしたり。なぜか指でモールス信号を打っていたり。話せないと自虐し、卑屈になる割には、さまざまな方法で気持ちを送っています。
作中には、傘ラジオから始まって人工衛星、校内放送、音楽のプレイリスト、モールス信号など様々な通信手段が登場します。千キロメートル離れた人工衛星の声は聞けるのに、教室でたった数メートル先にいる相手へは話しかけられない。その距離を、恋愛のもどかしさに重ねました。
余談ですが、Canvaで重加工しながら表紙をつくりました。傘ラジオは自作です。本当にAMラジオが聞けます。

タイトルの「ファイブナイン」は、アマチュア無線で信号強度と了解度がともに最高であることを示す表現です。
響の言葉は、信へ最大の強さではっきり届いている。そして、信が自分では送れていないと思っていた気持ちも、響にはちゃんと届いている。
安心して言葉を送れる距離や方法を、少しずつ見つけていく。その手応えが、信にとっての恋なんだよね。